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acupuncture & moxibustion clinic
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まずは円形脱毛症を知るために
少しだけ一般的な説明から
メラニン色素には
ユーメラニンと
フェオメラニンの
2つがあるんだな
円形脱毛症の事をよく知る前にまずは髪の毛についての知識を
確認してみましょう。
まず髪の毛は個人差はありますが
全頭でおよそ平均値で10万本程度あります。
これは胎児の時(時期にして凡そ3か月から6か月)に全身の毛包が完成し、
髪の毛を含めた毛の総量が決定します。
髪の毛の材質はタンパク質です。
そのタンパク質の中でもとりわけ含有量の多いもののがシスチンです。
このシスチンが髪の毛の強度を強く保っています。
そして髪の毛の色を決めるメラニン(ユーメラニン)色素も
髪の毛には多く含まれます。
メラニン色素は髪の毛を生成する毛母の中で生成され
髪の毛のたんぱく質に組み込まれます。
髪の毛の色はこのメラニンの含有量で決まります。
またメラニンは黒色のみらなず、
赤・茶・黄色に見えるフェオメラニンも含まれるため
厳密にはメラニンとフェオメラニンの配合比率で決まります。
一般に髪の毛の成長する速度は1日あたり
0.3mm程度とされています。
1か月でおよそ1cm成長する計算です。
髪の毛の寿命は男性で2~5年、
女性で4~6年と言われていますが
例外的にもっと長い場合も多々あるようです。
そして成長過程では毛周期(ヘアサイクル)があり、
髪の毛が寿命を迎えるまで
成長期(早期・中期・後期)~移行期~休止期~脱毛という流れを辿ります。
髪の毛はそれぞれの毛包で寿命を迎える期日が異なります。
よって健康な髪の毛では数年周期で髪の毛が一気に無くなるような事は
おこりません。
自然に脱毛する髪の毛の本数は平均50~70本程度です。
これは髪の毛の総本数凡そ10万本として、
髪の毛の寿命を4年とした場合
10万本÷(365日×4年)=68本という計算ですが、
過去に行われた実地調査でも同じような結果が出ているようです。
ただし、季節による抜け毛の増減があり、
個人差はありますが秋(9月~11月)に
抜け毛が増える傾向があるようです。
髪の毛の頭皮に対する固着力は1本あたり50~80gです。
10本まとめると500g~800gもの力をかけなければ
抜く事ができません。
また強度は1本あたり平均で120g~150g程度の力をかけると
上下に断裂します。
以上で髪の毛についての基本事項説明を終了します。
本来はもっと幅広く詳細があるのですが、
このサイトを読むには上記の内容でまずは十分と考えます。
普段通りでも
1日に多くの髪の毛が
じつは抜けていたんだね
円形脱毛症
円形脱毛症とは髪の毛が円形に、
またはビマン的に抜け落ちてしまう症状で、
男性型脱毛症、トリコチロマニー、産後の脱毛、結髪性脱毛などとは
区別される症状を指します。
脱毛部は一箇所から多数発生する場合があり、
それぞれが結合して大きな脱毛部を形成し全頭に及ぶ場合があります。
そして症状は髪の毛にとどまらず
眉毛・まつ毛・ヒゲ・鼻毛及び全身の体毛まで抜けてしまう場合があります。
円形脱毛症の発症
何の前触れもなく抜け落ち、
理美容室や家族の指摘により初めて自覚する方が多いようです。
希に脱毛を自覚する前に頭皮に「発赤」が現れたり
「かゆみ」「フケ」「ピリピリ感」「ツッパリ感」を覚える方々も
見受けられます。
ただ必ずしも上記の感覚が円形脱毛症に結びつくわけではありません。
円形脱毛症の原因
現在は自己免疫疾患であるとの説が主流です。
これは脱毛部の頭皮を観察すると
毛根に自己免疫であるリンパ球の浸潤(食い込み)が
観察されている為です。
そのほかには末梢神経異常説、ストレス説など様々な原因が
提唱されていますが結論は未だ定まっていないようです。
当あおい堂鍼灸院で想定している円形脱毛症の原因としては
上のメニューバーから『円形脱毛症の鍼灸』ページをご覧ください。
円形脱毛症の原因は
ストレスだけとは
限らないみたいだね
これ以外にも
フロジンや漢方薬
抗アレルギー剤を
処方されることもあるな
病院での円形脱毛症の治療
ステロイド
(脱毛部へ塗る外用、脱毛部へ注射、服用)による治療は
原因の欄であげた自己免疫疾患説に基づくもので
ステロイド剤によるリンパ球の浸潤を抑えるものです。
局所免疫療法(SADBE・DPCP)は
自然界に存在しない化学物質を用いて
脱毛部へ人工的な炎症を起こします。
その炎症によりリンパ球の毛根への攻撃をかわすものです。
紫外線療法(PUVA)は脱毛部に紫外線を照射し、
光線の持つ消炎作用(リンパ球の不活性化)を期待したものです。
雪状炭酸圧抵療法(ドライアイス)は液体窒素を用い、
脱毛部へ炎症をおこし、リンパ球の攻撃をかわすものです。
円形脱毛症の発症と過程
ここからは私が見聞きしてきた円形脱毛症の発症から
回復までの過程を述べたいと思います。
分かりやすく説明するために症状を時系列毎に分類し、
ここではそれぞれを「抜け期」「停滞期」「生え期」としたいと思います。
それぞれの時期の特徴を分類しています。
「抜け期」
円形脱毛症の始まりです。
とにかく髪の毛が抜ける時期です。
ゆっくり脱毛が進む事もあれば1日で数百本以上抜けるような状況まで
程度の差は大きくあります。
下の画像は円形脱毛症の初期に良く見受けられる状態の脱毛部です。
はじめは小さくて
髪を分けた時に
少し分け目が
幅広に感じるような
見た目なんだね
現時点で脱毛部が
広がりそうか否かは
周辺の感嘆符毛などの
有無でわかる場合も
あるな
▼抜け毛
円形脱毛症とは髪の毛が抜け落ちるといった印象を
お持ちの方が殆どだと思います。
ただ実際のところは抜け落ちるというより
まず髪の毛が切れる事から始まります。
これは毛包(毛穴)内において免疫細胞が髪の毛を攻撃する為に
生じる現象です。
免疫細胞により攻撃された髪の毛はちょうど斧で木を切るように
細くなります。
その細くなった箇所が髪の毛の成長とともに頭皮上に押し出されてきた時
(およそ1~2mm程度)、
ブラッシングや洗髪時など髪の毛に対して
外力が加わった時などに金属疲労を起こすような感じで切れます。
そして毛先は重力で下に落ちますが、
根元の切れ残った短い部分はしばらくの間頭皮に残存します。
この時点での抜け毛の特徴として根元が折れ曲がって
蟻の触角や脚のような形状をしているもの(感嘆符毛:かんたんふもう)や
髪の毛をしごいてみるとボコボコと太さの一定しないものなどが
見受けられます。
抜けが生じている最中に頭皮を触ると
手にチクチクした感覚があるのは
この切れ残った短い髪の毛を触っている感覚です。
またこの切れ残った髪の毛の殆どは
その後成長しないものである場合がとても多いようです
(ごく少数ですがそのまま成長する場合もあります)。
そして症状が進むとともにこの切れ残った短い髪の毛も抜け落ちます。
また切れてしまう髪の毛をマイクロスコープで視認すると
黒い髪の毛の根元が1mm程度茶色く変色している場合や、
切れる細い個所が既に頭皮の上に出ている場合があります。
このような根元の色が変わっているもの、
髪の毛が細くなったり元に戻っていたり太さの安定しない抜け毛が多い場合、
頭皮を触って手がチクチクする箇所が増えてきているような場合、
上記の感嘆符毛が抜け毛として多く確認できる時点では
症状が進行中であるといえるかも知れません。
脱毛部にある
黒くて短い髪の毛は
切れ残った髪の毛で
生えてきた髪の毛では
ないんだな
黒くて短い髪の毛が
感嘆符毛(かんたんふもう)や
萎縮毛(いしゅくもう)と
呼ばれるものなんだね
▼頭皮
この「抜け期」の皮膚感覚としては何もない場合が多いのですが、
頭皮がヒリヒリまたはピリピリした感覚を覚える事や
髪の毛を触っただけで頭皮に痛みを覚える場合もあります。
痒みを覚える方もいますが、
普段の生活の中で感じる頭皮の痒みである場合もあり、
痒みに関してはこの時期の特徴とは言い切れない面もありますが、
脱毛部の生え際が集中的に痒い場合などは
「抜け期」の特徴と言えるかもしれません。
この時期の頭皮を肉眼では認識し辛いのですが
マイクロスコープを用いて観察すると
毛穴が黄色や赤色に変色している場合があります。
皮膚を注意深く触ると
特に脱毛部に凹んだように感じられる場所があるように思えますが、
これも元々の頭蓋骨の形などもあり一概には言えません。
基本的に
健康な頭皮は
青白い事が
多いんだな